成長企業のオフィス戦略

面白法人カヤック

固定概念にとらわれず、新しい価値を提供する

面白法人カヤック
代表取締役 柳澤 大輔 氏
神奈川県鎌倉市小町2-14-7 かまくら春秋スクエア2階

絵画の測り売り「ART-Meter」、建築家と出会う場所「HOUSECO」、みんなの声で遊ぶコミュニティ「こえ部」、ありがとうを、つなげよう。「THANKS」、世界初!?ブログを書く植物「今日の緑さん」など、数々のユニークなWEBサービスの企画・制作から運営までを行う。2008年度グッドデザイン賞にて、鎌倉本社オフィスとアイデアの湧き出る会議室「閃考会議室」が二つの領域/分類でダブル受賞している。

JR横須賀線・江ノ島電鉄線の鎌倉駅徒歩5分。鶴岡八幡宮と鎌倉駅をつなぐ若宮大路からすぐの 立地に面白法人カヤック様がご入居されているかまくら春秋スクエアビルがあります。1階には、同社が運営する「DONBURI CAFE DINNING bowls」がご入居されています。

自然、歴史、クリエイティブ

鎌倉へのこだわりを教えて下さい。

誰しも好きな地域というのはあるかと思います。好きな地域に事務所を構えて、好きな地域に住んで仕事が出来るということであれば、一石二鳥だと思っています。弊社が何故、鎌倉かというのは何点か理由があって、海と山があるという点も大きいですが、古いお寺があり、豊かな自然があるにも関わらず、感度の高い人達が住んでいると言うのが大きいです。海と山があればどこの田舎でも良いというわけではなく、クリエイティブ職の人が集い、尚且つ自然と歴史が豊富にある、と考えるというのは中々ないと思います。あとは、鎌倉に会社があることに対して、よいと言ってもらえる人がいる。そういう人は直感で弊社に興味を持ってもらえるエリアですね。そういうブランド力のあるエリアだと思っています。

本社が鎌倉にあると採用が大変なのではと思ってしまいます。

プラスにもマイナスにも当然なると思います。もちろん鎌倉で遠いから志望対象から外してしまうという方もなかにはいらっしゃると思います。また、逆にこれを機に鎌倉に引越をしようという人もいらっしゃいます。鎌倉という土地で一緒に仕事ができるかどうか、そういう判断が出来る場所と言う意味では、弊社はもちろん、志望する方の判断材料のひとつになるのではと思っています。それでも志望する方は鎌倉に何らかの愛着がある方だと思いますので。だけど、やはり都内から遠いからとか、住居が都内だから合わないとか、そういうデメリットはあります。 あと直接的には関わってきませんが、そもそも事務所物件が少ないので、社員が増えてもすぐに引越ができないというのもありますね。

御社の事業を教えて下さい。

WEB制作を行っておりまして、自社サービスと受託サービスを半々で行っています。基本的には、エンジニアとデザイナー、そして彼らをマネジメントするディレクターしかいない集団で、今後もその構成は変わらないと思っています。そういったメンバーの中で色々とつくり続けて新しい価値を生み出していければいいなと思っています。

御社が考える新しい価値とは何ですか?

例えば、「16小節のカブソング」というサービスを開発したのですが、これは、証券コードを入力すると株価のグラフのデータをもとに、グラフに応じた音楽を奏でるといったサービスなんですね。こういったサービスは、「株価のグラフをメロディにしたら面白くない!?」というところから始めています。今まで存在していたモノをこれまでと違った角度から、全く新しいモノにしてしまう、今まで知らなかった価値を見つけるなど、ドキドキワクワクするのは楽しいですよね。また、「THANKS」という「ありがとう」を集めるサービスがあります。こちらは自分達が「ありがとう」を発信するためにつくったのですが、他の人のありがとうを見ても暖かい気持ちになるというのが分かって、それはそれでお金では買えない暖かい気持ちをいただくことができます。そういう新しい価値をインターネットを用いてつくっていければ面白いと思っています。 つくる基準としては、収益化が出来るかどうかというよりは、ニーズがあるものをつくれば基本的には社会に役立つものなので、後々収益化につながると思っています。一昨年から77個、88個と自社サービスをつくってきているので、数字にこだわりはないのですが、今年は99個自社サービスをつくろうと思っています。収益ありきでつくるというより、それをつくりたいかどうか、喜ぶ人がいるかどうかでスタートします。
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エレベータを降りると2Fの執務スペースでは、高い天井に特徴的なライト、見たこともない机が並んでいます。中央には役員3名の執務スペースがあり、コミュニケーションを大切にする空間というコンセプト通り、どこにいてもフロア全体を見渡せるつくりになっています。

「和」をコンセプトに、コミュニケーション重視の設計

今回のご移転にはどれくらいの期間がかかりましたか?

以前のオフィスは現在のオフィスの斜め前。ちょうど、このビルが増築およびリノベーションされる時から、この物件に移転できたらと思っていました。実際に移転するまでには1年ほどかかっています。探し始めたのは、更に1年位前から不動産業者にお伺いしていたので、そういう意味だと2年位かかっています。移転しようと思ってもすぐに候補物件が見つかるエリアではないので、ある程度の時間はみています。

内装のコンセプトを教えて下さい。

以前から一緒にものづくりをしたかった建築デザイナーがいて、お任せしたという形です。弊社からコンセプトとしてお伝えしたのが、「和」というテーマと、コミュニケーションを大切にしている会社なので、コミュニケーションが取りやすい設計。大きくいうとその2つです。あとは自由につくりたいもの一緒につくりましょうということでつくっていきました。結果として出来上がったのが、畳を使って、その畳を縁台のように囲んで座るオフィスをつくろうというのが2F部分です。コミュニケーションを大切にしながら、仕事をしているので、外出の多いディレクターはフリーアドレスの人間もいます。エンジニアとデザイナーは指定した座席につきますが、コミュニケーションが停滞しないように、2ヶ月に1度席替えを行うようにしています。3Fは会議スペースということで3つの会議室をつくりました。3Fの会議室は元々ソファで埋まっていたのですが、社員が増えたこともあり、一部つくり変えて使用しています。

事業戦略上のオフィスの位置づけを教えて下さい。

移転を社員のモチベーションを上げるきっかけにしている企業様もいるかと思いますが、「最初はやるぞ!」となっても、デザインや場所はどうしても馴染んでしまうので、いつかは飽きがくると思っています。そういうモチベーションの上げ方や斬新だから取材を受けるというのは一過性のものだと思います。それよりも大事なことは、みんながオフィスづくりに参加すること。一緒に作り上げたオフィスには愛着が涌きますし、当たり前のことですが、自分達で机の上をきれいにしたり、掃除をして、クリエイティブな空間を一緒に作っていく方が重要だと思っています。あとは、自由な設計にしているので、高低差があったり、畳の上で会議をしている人もいれば、畳の下で仕事をしている人がいるとか、使い方そのものをあまり固定概念に捕らわれないようにすることにより、発想を豊かにしていきたいと思っています。
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3Fの会議スペースは人員増加のため、現在は会議スペース兼執務スペースになっています。元々は写真のようにソファを敷き詰めてあったそうで、執務スペース同様、1フロアに高低差があり色々な使用方法がありそうでした。会議室は白で統一され、洗練されたつくりになっていました。

こちらのコラムは東京オフィスの岩上が担当いたします。
個人的にも以前から興味深く動向を追っていた面白法人カヤック様にお話しをお伺いすることが出来ました。同社のオフィスは、1FのDONBRI CAFE DINING bowlsと2Fの執務スペース、3Fの会議スペースとどれも特徴的な空間でした。短い時間でしたが、柳澤様にインタビューさせていただき、カヤックスタイルが少し分かったような気がしました。それは、数々のユニークなWEBサービスだけにとどまらず、飲食店やギャラリーなどのリアルショップ、自社のオフィスに至るまで自分達で考えつくっていくという姿勢です。同社が今後つくり出す「新しい価値」を一人のユーザとしてもとても楽しみにしております。

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