元フォートラベル代表の津田氏、元ミクシィ取締役の塚田氏によって2007年1月に設立。医療、介護、教育、ボランタリーなど、社会性の高い公共分野で、特化型行動支援プラットフォームを構築することを目指す。第一弾として「みんなでつくる闘病支援サイト オンライフ」を運営。
社会性の高い、公共分野へ
創業の経緯を教えて下さい。
私が前職に一区切りがついたのが、たまたま代表の津田と同じ時期でした。その頃津田は、フォートラベル株式会社の非常勤の会長になり、社会性の高い公共分野サービスをインターネット上で事業化できないかと考えていました。私は前職の株式会社ミクシィの役員を退任し、社会性の高い公共分野でのインキュベーションのようなことをやろうと思っていました。ちょうどその頃、株式会社はてなの川崎さんにお互いを紹介して頂いたんです。「同じ分野に興味があるし、人柄的にもひつじ系だから」と(笑)。私はもともと津田については、フォートラベルという事業を行っていることを知っていた程度でそれまで殆どつながりは無かったのですが、そのようなきっかけから色々と話をしました。 もともと2人とも自分が代表になって事業を立ち上げようと思っていましたし、方向性も、私は人をサポートすること、彼はインターネットを活用して事業を立ち上げることを考えていましたので、当初は一緒にやるという話ではありませんでした。津田も私もそれぞれ、2坪ほどの小さいレンタルオフィスを借りていたのですが、2人とも似たような環境で寂しいので、ランチに行ったりお互いのオフィスを行き来して色々と話をしているうちに方向性が固まってきまして・・・。インキュベーション的な事業も将来的には取り組んで行くとして、まずはインターネットを活用して公共分野の改善を目指す事業をやりましょうということになりました。 私は、もともと前職の代表の笠原さんをとても尊敬していたので他の人の下で働くことはないと思っていたのですが、津田は人間的にも尊敬でき、事業作りが得意なので、組織作りが好きな自分と補完性があると考え、2008年1月に弊社を立ち上げました。
社名の由来とコンセプトを教えて下さい。
津田がアメリカに行った際に、ヨセミテ国立公園の自然に感動したそうです。自然は社会のあるべき姿の象徴だと捉え、会社としても社会のあるべき姿を作っていきたいという思いを社名に込めました。 もうひとつは、シリコンバレーに一番近い国立公園がヨセミテ国立公園だということです。シリコンバレーのエンジニアや経営者達が休暇になるとヨセミテ国立公園に行くのだそうです。シリコンバレーはインターネットビジネスをやっている人にとって聖地みたいなところがあって、そのような人達の起業家精神とか、 技術に対する探究心を見習いたいと思っています。その2つの理由でヨセミテという社名をつけました。弊社のコンセプトとしてもインターネットを活用して公共分野を改善するということがあるので、まさにぴったりだと思っています。あとは、アマゾンやパタゴニアなど知名度の高い地名を会社名に使用して、いつの間にかブランドとして認知されていくというのがかっこいいというのもありますね。ただ、日本だとヨセミテの知名度はあまり高くないんですけどね(笑)。
オフィス選びのポイントは何だったのですか。
津田が移転をする上で出した条件は1つだけで、「代々木公園が見える場所」です。実際に探してみると、なかなか代々木公園が見下ろせるオフィスというのがなくて大変でした。弊社の社名通り自然のあるところに引っ越したいと思っていました。
今後の事業展開はどのようにお考えですか。
現在行っている事業としては、
「みんなでつくる闘病支援サイト オンライフ」を運営しています。弊社は、特化型行動支援プラットフォームというコンセプトを持っています。コンシューマーの方々が、情報の収集や整理、検索、選択、購入、情報発信、記録を残すなどして、更にその上で同じ課題や関心を持った方達がコミュニケーションを行う。このようなコンシューマーがアクションを起こすモデルを消費チェーンとして捉え、これを全体的に支援するようなプラットフォームを作りたいと思っています。更に、特化型と言いましたが、例えば、医療や教育、介護、ボランタリーのような分野に特化していきたいと思っています。以前津田が立ち上げたフォートラベルも、旅行をターゲットにこれを行っていました。それを応用して、公共分野に特化した行動支援プラットフォームという形で作ろうと思っています。弊社の場合は、とにかくコンシューマーから支持を得て、その後でサプライヤーの人達へと展開していけたらと思っています。最初は医療をターゲットにしていますが、今後2年おきぐらいで他の分野にも展開していこうと思っています。
情報収集、比較検討、情報発信、参加者交流を支援する特化型行動支援プラットフォームを目指す
どういった方向性をお持ちでしょうか。
“急拡大して”というよりは”じっくりと”というイメージを持っています。1つには、弊社が事業展開しようとしている医療や教育、介護、ボランタリーなどの分野は、もともと国がやるべき分野も範囲に入っていると思っています。ですので、色々な法規制があったりしがらみや慣習があったり、既得権益があったりと大変で、企業としては事業展開がしづらい分野だと思います。事業展開するならエンタメ系やビジネス系が多いので、弊社が行おうとしている分野にはプレイヤーが少ないですね。ただ、この分野には強烈なニーズがあるので、弊社は弊社で範囲を絞って事業展開をしようとしています。その上で、注意しているのが、まずは徹底的にコンシューマー向けのサービスであるということ。その次に、ローコストオペレーションであるということ。お金をかければすぐに戻ってくるモデルではないので、1つのサービスをプロデューサーとエンジニア数名と営業など、少数精鋭で大体5名前後で行う予定です。ローコストオペレーションで行うという意味でも急拡大は考えていないですね。生涯をかけて取り組むという気持ちでやっていこうと思います。
採用はどのようにされているのですか?
ありがたいことに、色々な方に弊社のコンセプトに賛同して頂いてご応募頂いたりもするのですが、少数精鋭で事業展開していこうと思っているので、慎重に時間をかけて採用していければと思っています。大事なのは、弊社のコンセプトに100%共感して頂けること。あとはひつじ系の方ですね(笑)。 前職も同様ですが、周りでもCGM系のサイトで成功している方と接して感じたのが、ひつじ系 の方が多いということ(笑)。ユーザ参加型サービスを 成功させるためには、「収益上げるぞ!」的な気持ちはあまり適していないと思っています。とにかくコンシューマーからの支持を徹底的に得て、その上で適切 なタイミングと価格でサプライヤーからお金を頂き、更にユーザに還元すること。ありがちなのが、ユーザが少し集まってくると広告主体になってしまったりと か、ユーザの意に沿わないことを行いユーザ離れが起こることですね。ユーザから「継続して欲しいので、広告を貼ってください。」と言われるくらい焦らすよ うなスタンスが必要だと思っています(笑)。また、そのようなことをするにはひつじ系の方がいいのかなと思っています。 創業期に入社してくれたメンバーも、akiyan.comというブログを運営し、PHPの書籍を執筆した経験もあるCTOの秋田や、アットコスメの成長を牽引してきたWebプロデューサーの高橋だったりと非常に優秀でひつじ系なメンバーが集まってくれています。
事業戦略上のオフィスの位置づけを教えて下さい。
まず、人材は最大の資産だと考えています。オフィスは第2の家のような部分があると思いますので、気持ちよく生産性を上げるオフィスには投資を惜しみません。一方で、「場」だけがオフィスという考え方はしておらず、カフェや家など、一番生産性が高く働ける場所がオフィスであっていいと考えています。弊社では、「どこでもオフィス」というコンセプトにしています。 また、毎週水曜日は「ノー出勤デー」にしています。家やカフェ、逆にオフィスには誰もいないのでオフィスに行くとか(笑)、「場」に縛られない時間を作る制度を試験的に始めています。その前提として、上場企業で求められるレベルのセキュリティと、オンラインでの情報共有を徹底しています。 極論するとどこでも仕事が出来るのであれば、オフィスはいらないということになるのですが、「場」としてのオフィスはコラボレーションをいかに誘発するかと いうテーマで考えています。例えば大きなホワイトボードを作ったり、一つの大きな机を囲って仕事をしたり、ベランダでミーティングが出来る場を設けると か、そういったコラボレーションが出来る「場」がオフィスで、気持ちよく働くという意味では「場所」に捉われずにいたいと思っています。 また、内部だけのコラボレーションだけでなく、外部とのコラボレーションも積極的に行っています。個人でサービスを運営している方とブレストしたり、外部のデザイナーにお越し頂き一緒に仕事をしたりなど、中と外との境界をあいまいにしていければいいなと思っています。 ただ、「ノー出勤デー」を始めたら皆寂しいようで、Skypeで各自のステータスを共有できる『Yosemitter』というのを作りました(笑)。 強固なセキュリティと情報共有のプラットフォームが整っていれば、海外の優秀な方など、場所に捉われない採用が出来、それが競争優位性になると思っています。
東京オフィスについて一言お願い致します。
もともと良い評判をお聞きしており、webも知っていました。実際に関わらせて頂いて、フットワークが軽いというのはもちろん、常にこちら側の視点に立って頂いていたのが、とてもありがたかったと思っています。サプライヤー側に立つ仲介会社さんが多い中で、コンシューマー側に徹底的に立つという弊社のコンセプトに似ていると感じました。「どこでもオフィス」や「ノー出勤デー」をローテーションすると随分先になるかと思いますが、次回移転する時は是非お願いしたいと思っています。